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企業における水害対策とは?
必要性と取るべき主な対策について解説

 
企業における水害対策とは?

 
近年、大雨や大型台風が襲来する傾向が高まり、水害が頻発しています。平成20年から平成29年の10年間において、全国の約97%以上の市町村で水害や土砂災害が発生しているというデータもあります。日本全国、どこで水害が起きても不思議ではない状況です。今回は企業における水害対策に焦点を当て、企業が受ける影響、対策の必要性や取るべき対策を紹介していきます。


水害とは

水害とは文字どおり水によって被害を受けること。具体的には、大雨や台風などの多量の降雨や津波・高潮などによって引き起こされる災害のことです。近年は梅雨期の大雨あるいは台風によって短時間のうちに激しい雨が降ることが多く、河川の急激な増水により社会生活に大きな影響を及ぼすというケースが少なくありません。河川の氾濫やがけ崩れ、市中における下水道の氾濫などにより、社会インフラの機能が低下し、日常生活に混乱を来します。水害の主な要因は、以下のようなものがあります。
 

  • 洪水

大雨によって河川が急激に増水し、堤防の浸食や決壊、また橋の流失が起こる危険があります。
 

  • 外水氾濫

河川が氾濫したり堤防が決壊したりすることで、市街地に水が流れ込む状態です。水流の勢いが強く、河川に近いエリアでは、特に被害が増大する傾向となります。
 

  • 内水氾濫

都市の下水処理設備において、多量の雨が原因となり排水能力を超過。排水が追いつかずに、市中に水が氾濫する状態です。通常の内水氾濫のほか、河川の水が排水路を逆流して起こる「湛水(たんすい)型内水氾濫」もあります。
 

  • 波浪

波浪とは海洋表面の波動のうち、風によって発生した周期が130秒程度のものを指します。風浪とうねりから起こり、海水が陸上に及ぶ原因となります。※風浪とは、その海域で吹いている風によって生じる波のことです。波浪警報は高波による遭難や沿岸施設の被害など、重大な災害が発生する恐れがあると予測される場合に、発表される警報です。
 

  • 高潮

台風や強い低気圧などによって、平常時よりも海面が高くなる状態です。陸地に海水が流れ込み、塩害が発生する原因となります。
 

  • 津波

海底での地震に伴う海底地盤の隆起や沈降、海底の地すべりなどが原因となり、周辺の海水が上下に変動することで発生します。陸に到達する際に後ろからの波に押され、波高が増大していきます。津波は海面を伝わって、震源から遠く離れた地域へ押し寄せることもあります。大きな津波では河口から海水が逆流し、陸地の奥深くまで被害を及ぼすケースも見られます。


企業における水害対策の必要性

▶水害の発生リスクの高まり

日本は年平均1,718mmの降水量があり、これは世界平均(880mm)の約2倍に相当します。また季節ごとの変動が激しく、月ごとの降水量が異なるという特徴があります。近年、時間の降水量が50mmを超える集中豪雨(ゲリラ豪雨)の発生回数、年間の水害損害額も増加が見られます。温暖化の影響により、過去と比較しても水害発生リスクが高まっていると考えられます。最近では従来水害がなかった地域でも被害が発生しており、都市型水害の増加も顕著です。
 

▶水害による事業継続リスク

浸水のような被害により、事業継続が困難になったり、復旧までに長期間を要したりするケースが頻発しています。豪雨による企業の被害としては、ライフラインの供給停止や道路交通障害によって操業停止が発生した以下のような例があります。

  • ・電機メーカーの工場が浸水により生産設備が停止、浸水から10日後に一部再開
  • ・繊維メーカーが豪雨の影響による断水のため、8日間操業停止

企業が取るべき水害対策

企業が取るべき主な水害対策を解説します。
 

▶事業所周辺地域の水害危険度を確認

企業の水害対策を実施していくために、まずはハザードマップを有効に活用しましょう。ハザードマップとは、地域で起こる災害の種類や規模を予測し、避難所の位置や安全な避難経路を書いた地図です。記載に従い、危険個所を事前に知ることで、適切な備えが見えてきます。危険個所の確認は机上のみで行うのではなく、実際に現地に足を運ぶことが大切です。そこで考えられる被害の状況を具体的に想定していきます。想定される水害をもとに、避難経路の策定・被害への対策を具体化していきます。状況によっては、避難場所への避難ではなく、垂直避難が有効な場合もあります。気象庁や市町村が発令する警戒・避難情報に留意しつつ、身の安全を確保することを心がけましょう。また、備品準備をはじめ、連絡手段の確保・寸断が仮定される道路網についての代替案など、災害への対応策を可能な限り詳細に検討することが重要です。
 

▶水害を想定したBCPを策定

水害にあっても企業としての機能を失わないよう、BCPを策定します。BCPBusiness Continuity Plan)とは「事業継続計画」を指し、自然災害やシステムエラーなどが発生した際であっても、直ちに事業の復旧・継続が行えるような計画を策定することです。水害へのBCP施策例としては、以下のようなものがあります。

  • 施設を物理的に浸水から守る

土のうや水のう、止水板など浸水対策用品の設置・準備を行い、物理的に水害から施設内を守れるようにする

  • 停電に備える

非常用電源装置の設置を行い、切り替えることによって一時的に電源を確保できるようにする

  • 重要なデータ、コンピューターシステムを守る

クラウドストレージの活用、データの分散化などを行い、企業資産となる情報の喪失を回避する。BCPについて詳しくは、「BCP対策とは?その目的と取り組む際の流れを解説」をご参照ください。


被害の最小化と速やかな事業回復のため水害対策を

自然災害は人間の力では食い止められません。日本国内ではどの地域でも水害が発生する可能性があり、都市部においても安全とは言えなくなってきています。自社の従業員と事業を守るために可能な限りの水害対策を講じ、被害の最小化と事業の継続を目指すことが重要です。

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