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オフィスの災害対策は万全?
必要性や災害の種類別防災対策を紹介

 
オフィスの災害対策は万全?

 
近年大きな災害が相次ぐ日本。防災意識の向上が求められる中、オフィスの災害対策にも大きな注目が集まっています。従業員の命を守り、事業を継続させていくためにも備えは重要です。しかし企業によっては、災害対策に不安を持っているところも少なくありません。オフィスの災害対策の必要性と、さまざまな災害への対策について解説します。
 
なお、より詳細な災害ごとの防災対策については、お役立ち資料「防災担当者必見 大規模災害を乗り切るためのBCP~リスクの想定と事前にできる備えとは~」で紹介していますので、ご興味がございましたら併せてご確認ください。


オフィスの災害対策の必要性

世界の中でも自然災害が多発する国として知られる日本では、2021年に入ってからも地震や豪雨・台風などによる風水害、林野火災、火山噴火などによる被害が多数報告されています。少し前のデータになりますが、中小企業庁の201811月付けの資料「中小企業の防災・減災対策に関する 現状と課題について」によると、2018年の自然災害による中小企業の被害額は以下のようになっています。
 

  • 西日本豪雨:4,738億円
  • 台風第1921号:99億円
  • 北海道胆振東部地震:42億円

 
昨今の地球環境の変化により、災害による被害は激甚化、逆に集中化の傾向が見られます。例えば台風の進路が変わり、これまで被害がなかった地域にも上陸したり影響を受けたりするケースが増えてきました。一方で、ゲリラ豪雨を引き起こす線状降水帯という言葉も天気情報でよく耳にするようになりました。日本国内においては、年間を通じていつどこで被害が発生してもおかしくない状況にあると言えるでしょう。特に首都直下地震・南海トラフ地震の発生については、近年、広範囲にわたる大規模な被害への警戒感が高まっています。
 
度重なる豪雨に加え、津波による水害発生リスクの上昇も懸念されます。災害は当然あるものと考え、企業としては事業継続のため、および従業員の命と生活を守るためにも、入念な事前対策を講じる必要があるのです。


防災対策のガイドライン

企業に対しては、エリアの事情に基づいてガイドラインが策定されています。例えば東京都の場合、2011年に発生した東日本大震災において、鉄道をはじめとした交通機関の運行が停止。道路上では大規模な渋滞が発生しました。その結果、首都圏では約515万人もの帰宅困難者が生じ、地震による不安をさらに拡大することとなったのです。その反省を踏まえ、東京都では「東京都帰宅困難者対策条例」に基づき、企業に対して以下のような指導がなされています。
 

  • 災害発生時にはむやみに従業員を一斉帰宅させない
  • 通信連絡できる代替手段の確保
  • 備品として全従業員分の水・食料を備蓄

 
帰宅困難者をできる限り少なくするため、また従業員を帰宅途中で危険にさらさないためにも、企業では帰路の手段と安全が確保されないうちは、帰宅を促すべきではありません。また、帰宅者が道をふさぐことにより、人命救助の動きに支障が出る恐れもあります。
 
それを避けるためにも、地震やその他の災害発生から人命救助のデッドラインとされる72時間は、安全な場所にとどまるよう指導もされています。企業では、従業者の3日分の保存水、食料その他災害時における必要な物資を備蓄するよう努めなければなりません。従業員が無理に帰宅することを防ぎ、事業所内で避難生活を送れるよう、食料、水、毛布またはブランケットといった物品を保管するようにします。この条令自体は努力義務とされていますが、これらの対策を徹底することは、従業員を雇用する企業の責任として、また社会に対して果たすべき責任として認識されています。
詳しくは、72時間の壁とは何か?企業がとるべき対処法やシーン別の過ごし方をご参照ください。


災害の種類別オフィスの防災対策

オフィスで可能な防災対策を、災害別に確認しておきましょう。
 

▶災害の種類に関係なく共通の防災対策

 

  • BCP策定

BCP(事業継続計画)とは、災害のような有事の際に企業の資産の損害を最小限に食い止め、主力となる事業を継続、または早期復旧をするための事業継続手段や手順を取り決めるものです。策定に当たっては、中核となる事業を洗い出し、想定されるリスクに対しての優先すべき行動手順を定めていきます。BCP対策の詳細や作成の手順については、「BCP対策とは?その目的と取り組む際の流れを解説」「BCPの策定はどのように進めるべき?流れに沿って手順を解説」をご覧ください。
 

  • 危機管理マニュアル共有

危機管理マニュアルは、災害による被害を最小限に抑制し、危険な状態から脱出するための行動指針となる対応策を定めたものです。ただし、危機管理マニュアルを作成しただけでは、役に立ちません。常に閲覧できるようにし、全社、各部署、個人で確認して情報共有する機会を設けます。マニュアルに沿った行動訓練を行い、不都合な点については随時改善していくことも大切です。
 マニュアル制作については「BCPマニュアル作成のポイントは?マニュアルが必要な理由と活用方法も紹介」でもご紹介しています。
 

  • 防災備蓄品の確保

先にもあったように、安全が確保されない状況での移動は避けなければなりません。企業規模に合わせた量、想定される災害に対応できる内容の備蓄品の確保が必要です。防災備蓄品の詳細について「企業における防災備蓄品‐必要量の目安と選定のポイントは?」をご参照ください。
 

  • 防災訓練の実施

避難訓練は消防法で定められた義務であり、年1回以上の実施が求められています。避難訓練をすることで、災害時にどのように危険を避ければよいのかが分かります。火災、水害、地震を想定し、避難通路と安全の確保を確認しましょう。避難通路については、「オフィスの避難通路の幅はどの程度確保しておく必要がある?」をご覧ください。なお、有事の際には企業が立地する自治体や周辺の企業など、近隣との協力も必要です。防災訓練を地域や周辺企業との連携を取りながら実施していくことは、万が一の場合の安全確保に役立ちます。

 

 ▶地震

 

  • 耐震強度確認

建物の屋内外における安全性を確保するため、耐震強度を確認し、必要に応じて補強を行います。耐震補強の補助金を設定している自治体も多く見られますので、活用できるかチェックしておくとよいでしょう。
 

  • キャビネット・大型家具などの固定

企業では大型キャビネットやロッカー、棚やデスクなど家具が多く、それらが移動したり転倒したりすると、けがをしたり避難できなくなったりする恐れがあります。家具を固定する、避難の邪魔になるところに家具を置かないといった対策が必要です。
 

  • 床材の変更

転倒したり物が落ちてきたりした場合に、衝撃を吸収できる床材の方が安全性が高くなります。業務に支障が出ない範囲で、柔らかい材質のものへ変更することも対策のひとつです。
 

  • 物品の移動

災害時には思いがけないものが凶器となり、大きな被害に繋がることもあります。日ごろから物品の整理を行う習慣づけをしていきましょう。特に重量のある物については、高所での保管を避けて安全性を図ります。
 
地震対策の詳細は「オフィスの地震対策を見直そう!被害を出さない職場づくりとは」でご紹介しています。
 

▶火災

  • 火災報知器・消火設備の設置

消防法により、火災報知器や消火設備の設置基準が細かく定められています。床面積や階数によっても異なるため、法令に準拠した設置を徹底します。
 

  • 消火器の設置および使用訓練

消火器を設置し、いざというときにすべての従業員が使用できる状態にしておくことが大切です。避難訓練を利用して、全員が消火器操作になじめるようにしておきましょう。
 

▶水害

 

  • 電気設備の移動

企業においては、事業継続のために電気エネルギーが欠かせません。水害が予測される地区では、サーバーのようなものを含め、電気関連設備を高い階へ移動するといった対策が求められます。
 

  • 土のうの備え

水害が予測される地域にオフィスがある場合は、水の浸水を止めるための土のうを備えておきましょう。最近は、土砂を入れるのではなく水を吸水させることで数分で膨らむ便利な土のうも出ています。
 

  • 浸水防止シャッターの設置

特に大きな水害のリスクがある地域にオフィスがある場合には、浸水防止シャッターの設置も検討してみましょう。押し寄せる水の勢いは、通常のシャッターやドアを簡単に破ります。企業資産の保護、従業員の避難路確保を考え、浸水防止シャッターを適所に設置することで水害への有効な備えとなります。
 
水害対策については「水害によって想定される被害とは?企業がとるべき対策のポイント」も併せてご確認ください。


オフィスの災害対策は企業としての重大責任

災害時、企業には従業員を守る義務があり、事業継続への道を確保する必要もあります。災害対策は企業としての重大な責任です。自社のリソースを考慮し、必要に応じて外部サービスを活用しながら、最も効果の高い災害対策を検討していきましょう。弊社では、防災備品選定ツール「サクっとstock」「防災備蓄用品管理代行サービス」を提供しています。災害対策にお悩みの際は、お気軽にご相談ください。

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