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フェーズフリーにはどんな事例がある?
参考にしたい企業の取り組みや製品の一例

 
オフィスに集まり会議を行う人たち

 
普段から使用しているものやサービスを、日常時だけでなく非常時にも役立てるという概念、「フェーズフリー」が注目されています。
しかし、いざ防災対策にフェーズフリーを取り入れようとしても、具体的にどうすればいいのかわからないという企業もあるのではないでしょうか。
 
そこで本記事では、フェーズフリーの実践に役立つ企業の取り組み事例や、フェーズフリー製品の例を紹介します。


防災備蓄の現状とフェーズフリーの重要性

プラス株式会社ジョインテックスカンパニーが実施した「業種別の防災・BCP対策に関する実態調査」によると、防災備蓄を実施している企業の割合は46.9%となっています。
 
半数以上の企業が未実施の状況にあり、防災備蓄の準備が遅れている主な理由としては以下が挙げられます。

  • 準備すべきものや数量がわからない
  • 保管スペースがない
  • 予算化していない
  • 必要性が感じられない

 
防災備蓄の必要性を認識していない企業が存在する一方で、必要性は感じているものの、備蓄品の購入予算や保管場所が確保できず、準備が進められていない企業も多いようです。
 防災備蓄の現状については、「防災担当者必見!実態調査から見えた、企業における防災備蓄の現状と課題」でも詳しく解説しています。ぜひ、そちらもご覧ください。
 
フェーズフリーとは、「いつものときも、もしものときも、常に快適に心地よく活用できる商品・サービス・アイデア」のことで、フェーズフリーが広がれば、日常生活はより豊かに・快適になり、災害への備えにもつながります。
 
フェーズフリーの概念で備蓄を検討するということは、防災備蓄品と日用品という区別をするのではなく、フェーズを問わず使用できるものを選ぶということになります。
これにより、防災備蓄品の保管スペースを節約できるほか、予算や必要性の課題もクリアしやすくなります。
 
フェーズフリーの概念については、「フェーズフリーとは?「いつも」と「もしも」2つのフェーズをフリーにするという新しい価値感」「フェーズフリーの5原則とは?防災対策におけるポイントも解説」も参考になります。ぜひご覧ください。
 
防災備蓄品の保管・管理については、「企業が行うべき防災備蓄品の適切な管理プロセスとは?」「【企業担当者必見!】防災備蓄品の適切な保管場所と保管の注意点」でも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。


フェーズフリーの事例と役立つグッズ

フェーズフリーという概念は理解できるものの、どのように実践できるのか具体的にわからないケースも少なくありません。
そこで、フェーズフリーを実践している企業の事例やフェーズフリー製品の一例をご紹介しましょう。
 

事例① フェーズフリーを実践している企業の事例

 

  • 災害時に避難場所となることを想定した公園

東京都23区内にある、敷地面積約1.7haの大規模な公園。芝生広場やさまざまな樹木が配置され、食事を楽しめるカフェや可動式小型店舗もあります。
 
平常時はのびのびと過ごせる憩いの場として親しまれていますが、災害時には約2,500人収容可能な一時避難場所として開放され、人々の目を楽しませる並木には、火災の延焼を防ぐために燃えにくいシラカシの木を利用。
 
カフェや可動式小型店舗は炊き出しのための設備として機能し、常備されているイベント用テントは災害用テントとして利用されます。まさに丸ごとフェーズフリーな公園です。
 

  • 可搬式のホテル

災害時には多くの住民が安全に避難できる施設が必要不可欠です。地域ごとに避難所が設けられますが、それだけでは全住民を受け入れられるとは限らず、避難所に人が溢れてしまうリスクもあります。
 
そこで、あるホテルでは移動可能なコンテナ風の部屋を設計しました。平常時にはビジネスホテルとして運営し、災害時には被災地にコンテナを搬送することで臨時の避難施設として開放できます。
 

事例② フェーズフリーとして役立つグッズ

 

  • 蓄光LED電球

身近なフェーズフリー製品の一例として代表的なのが、蓄光LED電球です。
電球の表面に蓄光素材を使用することで、万が一停電になった際にも一定時間にわたって光源を確保でき、既存の電球を交換するだけで手間がかからないのもフェーズフリーにおいて重要なポイントといえるでしょう。
 

  • 止水ドア

止水性能が付加されているドアで、普段は通常のドアとして使用し、台風や大雨など浸水被害が想定される際に、土のうを積んだり止水板を設置したりする必要がありません。
一般的なドアと比べても見た目がほとんど変わらず、日常風景に溶け込むことからフェーズフリーに最適な製品といえるでしょう。
 

  • モバイルバッテリー

スマートフォンやPC、タブレット端末などの電源として活躍するモバイルバッテリーも災害時に役立つフェーズフリー製品といえます。
大容量のバッテリーやポータブル電源があれば通信手段を確保できるほか、製品によってはモバイルバッテリーにLEDライトの機能が追加されたものなどもあります。


フェーズフリーを取り入れた防災対策を進めよう

企業のBCP対策において、防災備蓄品を必要な分だけそろえておくことは基本的な取り組みといえます。
 
しかし、予算や保管スペースが限られているなどの課題も多く、思うように対策が進められていない企業も少なくありません。
 
そこで、フェーズフリーの概念を取り入れた商品やサービスを利用することにより、防災備蓄品としての用途だけでなく日常生活でも役立てられ、コストや保管スペースの節約にもつながります。
 
BCP対策を進めていくためにも、フェーズフリーを実践している企業の事例やフェーズフリー製品をぜひ参考にしてみてください。

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