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40以上の施設に、蓄電池や発電機、「BISTA」を一括導入
高齢者住宅におけるパイオニアの災害対策とは

 

 
1989年にシニアレジデンスの運営を開始してから約30年以上、心地いい住環境の創造を行いつづけ、高齢者住宅業界のパイオニアである、株式会社長谷工シニアウェルデザイン。介護施設・事業所におけるBCP策定の義務化を前に、全国44棟の高齢者住宅の災害対策を充実させるため、蓄電池や発電機、災害用備蓄スタンド「BISTA」などを全ての施設に導入いただきました。

同社が考える高齢者住宅における災害対策や具体的なアクション、そして今回の取り組みについて、同社代表取締役社長の幸谷 登 様、総務部 部長の佐藤 誠一 様、総務部リスク管理課 課長の綾川 剛 様にお話を伺いました。


「マンションの長谷工」が運営する、
高齢者の気持ちに寄り添う集合住宅とは

ー:貴社の事業概要についてお聞かせください。
 
幸谷 様
「マンションの長谷工」を想起される方が多いと思いますが、長谷工グループは安全・安心・快適な集合住宅をご提供するだけでなく、集合住宅における暮らし方や価値を半世紀以上にわたってご提案してきました。その長谷工グループの中で、主に有料老人ホームの企画・運営しているのが、私たち長谷工シニアウェルデザインです。
 
1989年に第一号施設として開設された「センチュリーシティ大宮公園(現ブランシエール大宮公園) 」は、高齢者の方が居住するマンション部分と食事や運動ができる共用部分を備えており、その後は隣接地に介護型ホームを新たに開設しました。このようなマンション・共同生活スペース・介護施設をひとつにまとめ、システム化したサービスを提供している企業はそう多くはありません。現在では、首都圏や近畿圏、中部圏を中心に、有料老人ホームの「ブランシエール」やグループホームの「ウェルミー」を運営しています。
 
ほとんどのご入居者にとって人生最後の暮らし、人生最後の建物になります。人生の最後の場所として弊社のホームをお選びいただいた、そのお気持ちに寄り添い、お応えすることを使命として運営に取り組んでいます。


ご入居者の安全を守るため。
災害対策とBCPにおける3つの重要な考え

ー:有料老人ホームやグループホームを運営される上で、
災害対策やBCP策定に対してどのような考えをお持ちでしょうか

 
幸谷 様
大きく3つの考えを重視しています。
 
まず1つは、お住まいになっているご入居者の安全を最優先で確保しなければならないことです。そのためにも、まずスタッフ一人ひとりが自身の安全をしっかり確保する必要があります。
 
2つ目に、ご入居者の安全を確保した上で食事や睡眠、排せつといった日常生活において必要不可欠なサービスを維持しなければなりません。特に介護や医療行為が必要な方に対する個別の備えも重要になります。
 
3つ目が、私たちのホームが地域の皆さまのお役に立つこと、支援できることです。特に災害時こそ、地域に対する貢献を大事にしたいと考えています。
 
ー:有料老人ホームやグループホームにおける災害対策では、
具体的にどのような取り組みをされているのでしょうか。

 
佐藤 様
いくつか例を挙げると、まずは水と食べ物の確保です。弊社のホームでは、災害時にご入居者にご提供する1日3食3日分の献立を予め決めており、常にその献立にあったお食事をご提供できるよう、食料の備蓄、賞味期限の管理を徹底しています。
 
他には、電源の確保も重要な備えです。ご入居者の中には日常的に医療行為が必要な方もおり、酸素吸入やたんの吸引などの医療器具には電気が必要です。また、他のホームや本社との連絡にも、スマートフォンやPC用の電源が必要になります。


BCP策定したところ、
災害時の電力確保がまだ不十分であるとの結論に

ー:2022年より介護用品の調達に弊社の「スマート介護」の「COREIL(コレイル)」をご利用いただいております。ご利用の経緯についてお聞かせください
 
綾川 様
ご入居者が日常的にお使いになるものの中でニーズが高いのがおむつです。以前は弊社が直接メーカーから買い付けて販売していたのですが、集計・請求などの処理に手間がかかっていました。
 
「スマート介護」の提供サービス「COREIL」を導入したことで、ご入居者ごとの購入明細が発行でき、事務処理の手間が省けたことは大きなメリットでした。また、おむつはもちろん、その他の日用品などもカタログから購入できるので、ご入居者にとっても便利になったと思います。
 
また、ジョインテックスカンパニーさんの担当者の方からの手厚いサポートも高評価です。現在抱えている悩みを相談すると、介護領域に関わるところはもちろん、防災用品の導入の部分に関しても幅広い提案をしてくださり、今回の導入に至りました。
 


ブランシエール蔵前ロビー

 
ー:今回の取り組みで防災用品を購入いただいた背景には、どのようなお悩みがあったのでしょうか。
 
綾川 様
介護事業者に対するBCP策定の義務化を受け、弊社もホームごとにBCPを策定したのですが、食料や水、おむつなどの備蓄は十分だったものの災害時の電源確保が不十分ではないかとの意見が社内から上がりました。そこで全国44ホーム一括で蓄電池や発電機などの購入を検討することになりました。
 
ー:防災用品を選定するにあたって、どのような点を重視しましたか。
 
綾川 様
蓄電池と発電機は、スタッフ1人でも移動できるサイズのものを選びました。有料老人ホームやグループホームは、基本的に共用スペースと住戸が別のフロアになっているため、フロアをまたいで簡単に移動できる必要があったのです。また、防災用品は長く使うものですから、蓄電池は放電が少ない高性能で寿命が長いものを選定しました。
 
さらに防災用品をストックする収納には、災害用備蓄スタンド「BISTA」を採用しました。大きな防災用品を購入するにも、スタッフが働く事務所には置く余裕がないという共通の悩みがありました。バックヤードに置くことも考えましたが、いざという時にすぐ取り出すことができません。
 
そこでご入居者も生活する共有スペース(ロビー、ラウンジ)に設置することができれば、普段から防災用品の存在を周知できますし、スタッフも災害時にはすぐに取り出せます。「BISTA」は共用スペースに置いても違和感がまったくない、シンプルなデザインである点が高評価ですね。加えて、「BISTA」の前面に弊社のロゴを入れていただいたことで、さらに安心感をご入居者に与えられていると思います。


購入した防災用品はホームの懇談会で使用し、訓練にも活用

ー:防災用品の購入後、どのようなアクションを取られましたか
 
綾川 様
有料老人ホームやグループホームでは、ご入居者とご家族、スタッフが集まって定期的に懇談会を開催しています。直近の懇談会では、今回購入した防災用品の使い方や機能を説明させていただき、実際に皆さまに触っていただいています。ご入居者とご家族ともにご安心いただけたことと思います。
 
その一方でスタッフの間では、全ホームで発電機の使用訓練と蓄電池への充電確認をおこなっています。スムーズにガスボンベをセットするやり方など、実際に触ったからこそ得られた学びがありました。
 
蓄電池に関しては、常に100%充電されている状態を維持したいので、事務所の中に設置してPCの充電などに使用することで、いつでも稼働できる状態にしています。
 
ー:今回の取り組みでは、どのような点を評価いただいていますか
 
佐藤 様
今回購入した防災用品を使ったホームの訓練には、ジョインテックスカンパニーさんの担当者の方にも同席いただきました。弊社と一緒に選定いただいた防災用品がどのように現場で使われているのか関心をもっていただいていることに、パートナーとしての安心感があります。
 
さまざまなご相談に対して、災害対策という大きな視点からトータルでご提案いただいたこと、必要なタイミングで必要なものを揃えていただいたこと、そして全ホーム一斉に防災用品を導入できたことを高く評価しています。


防災用品の購入で慢心せず、災害の体験や改善を積み重ねていくことが重要


▲「ブランシエール蔵前」9階屋上庭園からの外観(9~17階部分)

ー:今後の災害対策における展望をお聞かせください。
 
幸谷 様
直近の2024年正月に起きた能登半島地震では、これまでの地震とはまた違う復興の難しさを感じました。災害が起きると物流が滞りがちになり、普段からの備蓄の必要性や、排せつ物の処理の大変さを改めて感じました。おむつなどの在庫はホームを圧迫するために悩みのタネでしたが、さらに次のステップとして、トイレの備蓄も検討・相談中です。
 
防災用品を購入したことに満足せず、今後も継続した訓練と対策の改善を積み重ねていくことこそが、弊社のようにご入居者の命を預かる事業者の災害対策に必要なことなのではないでしょうか。

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<取材にご協力いただいたお客様>
株式会社長谷工シニアウェルデザイン:https://www.haseko-senior.co.jp/
代表取締役社長
幸谷 登 様
 
総務部
部長
佐藤 誠一 様
 
総務部 リスク管理課
課長
綾川 剛 様
 
<撮影にご協力いただいた施設>
・ブランシエール蔵前:https://www.haseko-senior.co.jp/lp/kuramae/
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「スマート介護」はプラス株式会社ジョインテックスカンパニーが運営する介護・福祉施設向けデリバリーサービスです。サービス詳細につきましては、こちらのサイトをご確認ください。
 
「COREIL」はスマート介護が提供するサービスのひとつ。施設利用者様分のお買い物代行サポートサービスです。サービス詳細につきましては、こちらのサイトをご確認ください。

 

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